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糖尿病腎症

糖尿病腎症

高血糖状態が続くことで、末梢神経に細小血管症が起こると腎臓にも機能障害が起こってしまいます。これが糖尿病腎症です。
三大合併症の中でも発症しやすいのですが、発症しても自覚症状がほとんど現れないので進行しやすく、ある程度進行してしまうと進行を阻止することや改善ができなくなってしまうのが糖尿病腎症の怖い所です。
しかし、早期発見できれば計算された献立による食事療法や,血糖値や血圧のコントロールで進行を防ぐことができます。腎不全まで進行してしまうと人口透析療法の必要があります。


糖尿病腎症とは

糖尿病腎症は蛋白尿で診断されますが、尿検査で蛋白が検出された段階ではすでにある程度まで病状が進行していますから早期発見とは言えません。

高血糖になると腎臓の働きが低下する

腎臓は尿を作り老廃物を体外へ排出する役割を持っています。老廃物を運ぶ血液を腎臓でろ過し、きれいな血液は体内へ老廃物は尿に含まれて排出されるという仕組みです。
ろ過を行っているのは腎臓内の糸球体と呼ばれる細小血管の集まりですが、高血糖によって細小血管が硬くなってしまう”細小血管症”が起こるとろ過機能が低下してしまい、老廃物を濃しとれなくなります。
一度糸球体が細小血管症になってしまうと、血糖値とは関係なく糸球体の機能は低下し続けるため、腎症は一定以上進行すると改善が困難なのです。

診断方法

病状のレベルが進まないと、自覚症状が現れない糖尿病腎症を早期段階で見つけるためには、頻繁に尿検査を行うことがとても大切です。
そのため、糖尿病や高血糖がある人は定期的に随時尿・時間尿・24時間尿の検査を行い、蛋白濃度を調べましょう。

判定基準

  • 正常:随時尿(30mg/gCrea)、時間尿(20μg/分)、24時間尿(30mg/24h)未満
  • 微アルブミン尿:随時尿(30〜299mg/gCrea)、時間尿(20〜199μg/分)、24時間尿(30〜299mg/24h)
  • 蛋白尿:随時尿(300mg/gCrea)、時間尿(200μg/分)、24時間尿(300mg/24)以上

糖尿病腎症の病期進行と症状

初期段階の腎症では、ごく微量の蛋白が尿中に検出されるだけなので一般的な健康診断等の尿検査では蛋白が検出されない場合もあります。

第1期

腎症前期

腎症を発症する前段階ですが、糖尿病・高血糖が発症している状態と考えます。随時尿・時間尿・24時間尿のいずれの検査でも尿中たんぱくは正常範囲内で異常は検出されず、自覚症状もありません。
血糖をコントロールすることで、第2期への進行を防ぐ治療が行われます。


第2期

腎症前期・微量蛋白尿(アルブミン)期

高血糖による腎臓機能の低下で、尿の中に通常では見られないたんぱく質の一種”アルブミン”が微量に排出されるようになります。生活面では健康体の人と変わりなく、検査によって発見されない限り自覚症状はほとんどありません。
糖尿病を発症して10年前後の期間に現れる事が多い状態で、高血糖が長期間続いている時ほど現れやすい傾向があります。


第3A期

顕性腎症前期・間欠性蛋白尿期

微量のアルブミンが出ている蛋白尿が続くと、一般的な健康診断で行われる尿検査でも判定されるくらいのタンパクが尿中〜検出されるようになります。1日1g前後の濃度の蛋白が検出されたりされなかったりと、間欠的に現れるのが特徴です。
まだ自覚症状はほとんどありませんが、肝臓機能そのものが低下し血圧の上昇がみられる場合もあります。この段階までは食事のたんぱく制限や高圧剤を使った治療が行われます。


第3B期

顕性腎症後期・持続性蛋白尿期

尿中にみられる蛋白量が常に1g/day以上の濃度になり、血管内ではたんぱく質の量が減少してしまいます。また、血液中の水分が血管の外へしみだしてくるため、むくみやすくなります。夕方になると足がむくむ、程度なので糖尿病腎症の症状とは気付かない場合が多いようです。疲労感や倦怠感、息切れなど徐々に自覚症状に気付く人もいます。
この段階になると蛋白制限食ではなく、低たんぱく食治療が始まります。


第4期

腎不全期・ネフローゼ期

全身にむくみがみられるネフローゼが起こることから、この段階はネフローゼ症候群と呼ばれることもあります。
老廃物が体外へ上手く排出できず、血液中みられる尿素窒素やクレアチニンといった尿毒素(老廃物)の濃度が高くなり、高窒素症となります。疲労・倦怠感・食欲の減少といった自覚症状が頻繁に現れるようになるため、長時間の仕事や体力を使う仕事はできなくなります。
腎不全期になると、人工透析治療が必要となります。


第5期

透析期・尿毒症期

体外へ排出されなくなった尿毒素が全身に回り尿毒症を起こしてしまう状態です。人工透析を続けていても、肺水腫や腹水、昏睡状態に陥ることもあります。進行を阻止する事は難しく、心不全や脳神経への影響が現れやすくなります。そのため、少しでも早く腎移植を受ける必要性があります。